100歳以上の日本人は4万人を超えている。いつまでも元気で長生きしている高齢者が増える一方で、認知症や足腰が弱り介護が必要な人も増え、社会問題となっている。
では、「ボケる人」「ボケない人」を分けるのは何か――。現在ベストセラーとなっている『100歳までボケない101の方法』(文春新書)の著者で、順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授の白澤卓二氏はこう語る。
「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持てといわれますが、40歳を過ぎて老けて見られるとしたら、それは遺伝のせいではなく、あなたの自己責任です」
寿命を決めている要因のなかで、遺伝子が占めるのはわずか25%しかないことが研究で明らかになっているという。寿命を決める残り75%は環境要因ということだ。白澤教授が続ける。
「環境要因のなかには、大気汚染など自分では避けるのが難しいものもありますが、多くは自分で変えられるもの。例えばタバコをやめるとかお酒を飲む量を減らす、食事を変えるなど、75%のかなりの部分は自分で選択できる。40歳の同窓会のころには、環境要因が相当に反映されてくるので、もし“老け組”に入ったとしたら、それは親の責任ではなくあなた自身の責任だということです」
さらにショッキングなのは、見た目が老けている人は、実際の寿命も短いということだ。
「デンマークのクリステンセン教授が、913ペア、1826人の70歳の双子の写真を撮り、それぞれ何歳に見えるかを41人の医療関係者らにアンケートした上で追跡調査を行なった結果、老けて見えるほうが早く亡くなっていたのです」
双子でも、どんな生活を送ってきたかで、見た目の年齢に差が出てくる。そして、その差はそのまま「あと何年生きられるか」の差になってしまうというのである。つまり、そこから分かるのは、同窓会の“老け組”は早死にし、“若見え組”は長生きする可能性が高いという残念すぎる現実だ。
しかし、ガッカリするのはまだ早い。白澤教授はこうもいう。
「いま、老け組だからといって諦めるのはまだ早い。老化を予防するアンチエイジングに取り組むことで、まだまだ若見え組に入ることは可能です。
アンチエイジング、すなわち老けない生き方ができている人は、寿命が長いだけでなく、ボケにくいというデータもあります。体も脳もバリバリ現役なまま、100歳まで生きることも可能なんです」
※週刊ポスト2011年7月1日号