全国8万の神社を包括する神社本庁で、「米騒動」が起こっている。東日本大震災の被災地を支援するため、伊勢神宮(三重県伊勢市)が神社本庁に送った「御料米」と呼ばれるお米の一部が、被災地に届かず本庁職員に配られていた問題が発覚したのだ。
このことを6月19日付で時事通信が報じると、神社本庁は「職員に配ったというのは事実無根だ」と反論。ところが翌日になると、一転して事実を認め、「神社内部の話だったので外に出したくなかった」(時事6月20日付)と弁解する事態に。しかも、米を送った伊勢神宮や被災地の福島県神社庁などは、報じられるまで職員への配給の事実を知らなかったというのだ。神社本庁総務課は、経緯をこう説明した。
「要請がないなか梅雨の時期を控え、保管し続けるとお米が傷む可能性があると判断しました。神宮からのお米ですから、粗末に扱うわけにはいきません。そこで、義援金集めなどで苦労する職員のありようをおもんぱかって、職員へ頒賜(はんぷ)、つまり配ることにいたしました。説明不足の点については、反省しております」
本庁は被災した神社への義援金を募るなど、今後も様々な支援を続けるつもりだという。もうひとつ気になるのは、なぜ今回の一件が報じられたのかということだ。神社関係者が明かす。
「御料米の配給を受けて食べた職員もいれば、受け取りを拒んだ職員もいて、反応は様々でした。いま本庁内では、誰が記者にリークしたのかと話題になっています。全国の神社は2013年に控える伊勢神宮の式年遷宮(20年に一度社殿を造り替える大祭)のために、資金難のなか奉賛金集めで大変です。そうしたなかで、本庁に対する反感があったのではないか、とも噂されています」
※週刊ポスト2011年7月8日号