仙人のような風貌と難解かつ芸術的な作品で知られる孤高の映画監督・鈴木清順氏が、人知れず再婚していた。娘というより孫に近い年齢のお相手にもかかわらず、ふたりは周囲もうらやむほど固い絆で結ばれていた。
黄金色に輝く夕暮れの隅田川。仲睦まじくその水面を眺める夫婦の姿を見かけると、近所の住民たちはいつも「まるで親子みたいね」と微笑んだという。
地元の主婦がいう。
「長く白いおひげを生やした鈴木清順監督は、この町では知らぬ人がいない有名人です。でも、一緒に付き添っている女性が奥さんだとは最近まで知りませんでした。
失礼な話ですけど、私は奥さんとご一緒に散歩されていた監督に“娘さんと仲がよろしいですね”と尋ねたことがあるんです。そしたら奥様がほっぺたを真っ赤にして“私、娘じゃなくて家内なんです”と答えられて……」
『殺しの烙印』『ツィゴイネルワイゼン』『夢二』などの数多くの名作を世に出し、世界的な巨匠として知られる鈴木清順監督が、「若き伴侶」を娶っていた。
親子に間違われるのも無理はない。何しろ鈴木氏の年齢は「卒寿」の88歳。一方の妻・Aさんは「不惑」の40歳。その歳の差は実に4回り、48歳である。
これまで報じられた「歳の差夫婦」をざっと挙げてみても、故・荒井注が「38歳」、故・上原謙が「37歳」、故・中村富十郎が「33歳」、山本文郎が「30歳」の歳の差となっている。「48歳」、およそ半世紀もの歳の差夫婦は、数多いる著名人たちの中でも間違いなく「史上最高記録」だろう。
鈴木氏とAさんは今、隅田川を望むタワーマンションで一緒に暮らしている。
ふたりを知る知人がいう。
「寄る年波には勝てないのか、最近の鈴木監督は体調の優れない日々が続いています。車いすが欠かせなくなり、持病の肺気腫のため、鼻にチューブをさして酸素の吸入も欠かせなくなっている。昨年から2度も救急車で運ばれているそうです。Aさんはいつもつきっきりで、かいがいしく鈴木監督の世話をしているんです」
※週刊ポスト2011年7月8日号