「食の安全は大切」「消費者のため」お役所が“正論”を口にする一方で、くだらない規制がたくさんある。元行政改革担当大臣の補佐官で政策工房社長の原英史氏が解説する。
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食品分野には、くだらない規制がある。
「うどん」と「ひやむぎ」「そうめん」の違いをご存じだろうか? これは、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)に基づく「乾めん類品質表示基準」に、はっきり書いてある。
長径1.7mm以上はうどん
長径1.3mm未満はそうめん
そして中間の「長径1.3mm以上1.7mm未満」だと「ひやむぎ」「細うどん」になる。基本的に原料・製法に大差はないが、「太さによって法令で名称を決める」というこの“厳密さ”と、生肉規制の“ユルさ”の温度差には違和感がある。
ジュースも、やはり同法の「果実飲料品質表示基準」で、「果実ジュース」(1種類の果実で果汁100%)、「果実ミックスジュース」(2種類以上の果実で果汁100%)、「果汁入り飲料」(果汁が10%以上100%未満)といった区分。
これらに違反して、例えば長径1.65mmなのに「うどん」と表示すれば、行政処分。さらに処分に従わなければ「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」を科される可能性さえある(第24条)。ユッケは罰則なしで放置しておきながら、こういう些末な話は「罰則付き」なのだ。
※SAPIO 2011年6月29日号