世はまさに「節電ファッショ」の様相を呈している。
今や人気ガタ落ちの節電啓発担当相(国民はお忘れでしょうが、蓮舫サンのことです)は「これからはクールビズではなく、節電ビズと呼びましょう」と喚き散らし、枝野幸男・官房長官が座長を務める「電力需給に関する検討会合」は何度も会合を重ねた末に、「窓にすだれを掛けましょう」「保温便座をオフにしましょう」と訴えている。
経産省は37億円を投じて「節電サポーター」(事業所等を回り、節電を呼び掛ける電機主任技術者)を派遣し、20万枚以上の節電ステッカーを配布して回っている。
そんな猿芝居には付き合っていられない。案の定、産業界では“叛乱”が起きた。
日本自動車工業会は、政府の節電要請を受けて5月に全国の工場で木曜と金曜を休業にして土日に操業する「輪番操業」を決めた。
が、ここにきてホンダは一部工場での「木金操業」に踏み切る構えで、自工会会長を務める志賀俊之・日産COOも「一部の工場で休日に稼働しても十分に節電はできる。被災地で車を待っている人たちがいる」と方針転換の姿勢を示した。
大手自動車メーカー幹部が本音を明かす。
「もともと西日本を本拠地とするマツダや三菱自動車は輪番操業に反対の立場。ホンダや日産も操業するのは東京電力や東北電力の管轄外だ。各社ともに工場内の照明を減らしたり、ラインを減らしたりと策を講じている。これ以上、政府の節電祭りに振り回されるなら、海外に製造拠点を移さざるを得ない」
業界のトップランナーであるトヨタの豊田章男・社長は、「日本でのモノづくりは限界を超えた」と、露骨に政府への不満を表わした。
※週刊ポスト2011年7月8日号