『俺の空』『硬派銀次郎』『サラリーマン金太郎』など数々の名作を生み出してきた漫画家・本宮ひろ志氏が、孫正義氏、ビル・ゲイツ氏とにまつわる仰天エピソードを語った。プロインタビュアー・吉田豪氏が本宮氏に切り込む。
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本宮:俺がハワイにいたとき、孫さんは自家用ジェットで金曜日にポンと来て。「日曜日にオーガスタでゴルフやるから本宮さん一緒に行こう」って言うわけ。で、向こうのメンバーはビル・ゲイツとスティーブ・ウィン(ラスベガスのカジノ王)だって。
――豪華すぎますよ!
本宮:気持ち悪がられるよな、こんな話。で、「申し訳ないけど、俺は英語もしゃべれないし、ビル・ゲイツもスティーブ・ウィンも興味ないし、ゴルフ場なんて穴が開いてりゃどこでもいいと思うタチだから、悪い、俺そこまで行く元気ない」って言ったら、「わかりました、じゃあ僕も行くのやめます」ってなったけどね。
ただ、そこには行かなかったけど、ビル・ゲイツやスティーブ・ウィンが現実にいるっていう匂いは嗅げるわけですよ。菅直人と電話で話しても、総理大臣という匂いは嗅げるよね。そういう匂いを嗅いで俺が漫画描くと、大抵ネットやなんかでは「ホントに大袈裟なことばっかり描きやがって」とか言われてるけど、現実にそういうことってあるわけじゃん。「俺の知り合いの知り合いが……」って言ったら、「ちょっと待て、知り合いの知り合いで重ねていけばオバマまでいくぞ」って話じゃないですか。オバマに会うことだって不可能じゃないんですよ!
たかだか漫画家ふぜいでも、漫画村から外を見ようとすれば、いろんな景色に接せられるということかな。
※週刊ポスト2011年7月8日号