白澤卓二氏は、1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として、著書やテレビ出演も多数の白澤氏が、100歳まで現役バリバリの、ボケない道を説く。
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長寿を達成する唯一の確立された方法はカロリー制限であることが知られている。今年の10月で100歳を迎える聖路加病院理事長の日野原重明先生は、若い頃からカロリー制限を実践。
朝食は100%天然果汁のジュースに植物油を加え、更にミルクコーヒーにレシチンのパウダーを加えている。昼はクッキーを2~3枚に牛乳1本。夕食は自宅で家族と一緒の食卓を囲む。
ある日の夕食メニューは、かに玉、生サケの南蛮漬け、ナスの田楽、冷や奴、グリーンサラダ、アサリのすまし汁、漬け物、ご飯を茶碗半分。若い頃から野菜中心で、90歳を過ぎてからは1日約1400キロカロリーの低カロリー食。
日野原先生は自らの基礎代謝を測定、診療や講演などの日常活動で消費するカロリーを基礎代謝に加え、1日1400キロカロリーで充分と計算。日野原先生の摂取カロリーは70歳以上の平均的日本人の推奨摂取カロリー1850キロカロリーの約75%である。
米国にカロリー制限協会というカロリー制限を実践している人たちの団体がある。カロリー制限によりヒトの寿命が延びるかどうか日々検証しているこの団体に加入しているピーターボスさんは、若い頃からカロリー制限を実践。
現在50歳代で動脈硬化等の兆候は全く認められず血管は若々しいが、骨密度が減少し始めている。極端なカロリー制限は、逆に骨粗鬆症や認知症などによる介護リスクを増やすとの報告もある。
栄養素を充分に確保して適正カロリーを摂取し続けることができれば日野原先生のようにボケずに100歳の誕生日を迎えられそうだ。
※週刊ポスト2011年7月8日号