汗ばむ季節とはいえ、脇の下から衣類に染み出すほどたくさんの汗が出る。ただの汗臭とは違う、独特の嫌なにおいも気になる…。いま、脇の汗やにおいに悩んで専門クリニックを受診する女性が急増しているという。「“気にしすぎ”もまた、大量に出る汗の原因になっているんです」とは、体臭多汗研究所所長で「五味クリニック」院長の五味常明さん。
「暑いときや緊張やストレスを感じたとき、辛いものを食べたときなどに、体温が急上昇しないように調節したり、動物のフェロモンのような役割で体臭のもとになったり、汗は元来、人間にとって必要不可欠なものです。体温調節のための水のような汗はエクリン腺、体臭のもとになる汗はアポクリン腺という汗腺から出ます。脇の下にはその2種の汗腺が集中してたくさんあるために汗の量が多く、また、体のほかの部位より密閉性があるため雑菌が繁殖しやすく、においも強いのです」(五味さん)
ただ、最近急増しているという極度の脇の多汗は、ストレスや緊張によるものが圧倒的に多いと五味さんはいう。確かに冷房の効いた場所なのに“シャツに汗ジミ”という光景は珍しくない。
「緊張やストレスに耐えるために脇から汗が出て、“大汗かいて恥ずかしい”と思う気持ちがさらに汗の量を増やす悪循環は、まさに現代病です。それからもうひとつの曲者は、冷房。外は猛暑、屋内や乗り物の中は急冷房。こんな異常な温度変化に見舞われるのは人類始まって以来のことでしょうね(笑)。汗腺が疲弊し、たとえば寒い部屋から急に外へ出ると、なかなか汗が出なかったり、突然ド~ッと出たり。このド~ッと出る汗こそ、ミネラル分を含んでにおいが強く乾きにくい、いわば“悪い汗”なんです」(五味さん)
しかし、節電がマストな今年の夏は、冷房を控えざるをえず、かえって汗腺が活力を取り戻し、サラッと乾きやすい“いい汗”をかく絶好のチャンスだと、五味さんは見る。
今年は猛暑、節電を見越して、早くから“脇汗対策”マーケットが大盛況。売り上げも、例年に比べて好調だという。いまや“脇汗”には欠かせない定番商品になっている『あせワキパットRiff』を発売する小林製薬マーケティング部の松下愛弓さんによると、
「『あせワキパット』は20年前の発売以来、年々実績を伸ばしているロングセラー商品です。改良を重ねて、吸収・消臭力がアップし、つけ心地のいい薄さも実現しています。最近では“エチケットアイテム”という感覚で使われるかたも増えて、多くのタレントさん、モデルさんにもご愛用いただいています」
※女性セブン2011年7月14日号