全国的な節電モードの中で、夏のボーナスでエコ家電への買い換えを検討している人も多いだろう。そこでエコ家電の選び方、使い方もコツを流通ジャーナリストの金子哲雄氏が伝授する。
* * *
夏物家電の中で、エアコンに次ぐ節電効果が期待できるのが、常時通電して使用する冷蔵庫だ。冷蔵庫もエアコン同様、10年前の機種に比べ、消費電力は約50%減。基本的な省エネ性能のアップに加え、最近の機種では各種センサーを搭載し、開閉頻度の少ない時間帯は自動で節電運転を行なうなど、賢い省エネ機能が充実している。
冷蔵庫に関しては、使い方次第で節電できる余地も大きい。まず手軽にできる対策が、冷蔵庫内にビニールカーテンを取り付けること。加えて、扉の開閉をできるだけ少なくし、食品を詰め込まないことがポイントだ。わが家では冷蔵庫に入れる食品は容量の6割程度にとどめ、扉の開閉は1日に6回以内と決めている。一般家庭の冷蔵庫では、庫内の7600円分の食材が賞味期限切れ、との調査結果もある。冷蔵庫の買い替えよりも、中身の整理や使い方の見直しが先決だ。
炊飯器や電子レンジ、オーブントースター、IHクッキングヒーターなどの調理家電は一般に、おいしさや調理時間の短縮を優先すると、消費電力も高くなってしまう。新商品に買い替えても消費電力は大差ないが、炊飯器や電気ポットの保温機能を使わない、昼時や18~19時の電力需要のピーク時を避けて食事の準備をする、といった工夫で、節電に貢献できる。ただ電力使用を控えるのではなく、いかにピーク時の消費電力を抑えるかが、節電の最大のポイントだからだ。その観点からいえば、静音タイプの洗濯機や掃除機を利用して、洗濯や掃除を電力需要の少ない深夜や早朝に行なうことも、立派な節電になる。
夏の電力不足に備え、住宅用太陽光発電システムに関心を寄せる人も増えているが、住宅版エコポイントや、自治体からの助成金制度があるとはいえ、まだまだ高額だ。ソーラーパネルの価格は今後まだ下がるだろう、と私は見ている。以前から導入を決めていた人以外は、当分は様子を見たほうがよいと思う。
※マネーポスト2011年7月号