売れない若手芸人は、小さなライブハウスでのネタ披露に精を出す。そのネタもウケたりドン滑ったり…。舞台に立ってみなければ結果はわからないのが通常だ。
しかし、どんなつまらないネタでも爆笑する名物おじさんがいる。そのおじさんの名前は“ゆるっ”さん。おそらく、笑いのツボゆるいことからその名がついたのであろうそのおじさんは、チケット代が安いライブにはほとんど顔を出し、絶対と言っていいほど前列の真ん中の席を陣取る。
ゆるっさんについて若手芸人はこう語る。「どんなに会場が冷え切っていても、ゆるっさんだけは大爆笑する。客席にいることを確認するとなんとなく安心する」。
芸人にとってはうれしい存在であるように感じるが、一方ではこんな証言も。「ゆるっさんが1人で大爆笑するせいで、ほかのお客さんがいつ笑っていいのかわからなくなり、滑るときがある」(ほかの若手芸人)
ただ、ゆるっさんが笑うのは客席にいるときだけらしい。ある芸人は「舞台が終わり、出待ちをしているゆるっさんと何度も話したことがあります。客席では大爆笑しているのに、面と向かって話すときはいつも無表情。不思議なおじさんです…」と話す。
どんなにつまらないネタでも笑うおじさん。芸人にとってよい存在であるかは不明だ。