今年4月末、生肉ユッケの『O111』による食中毒事件が焼き肉店で次々と発生し、日本中を震撼させた。「食中毒患者数は年間約2万~3万人も。高温多湿になり、細菌が繁殖しやすい6~8月は、食中毒の危険性がもっとも高まる季節です」(女子栄養大学教授 上田成子さん)。まずは、肉や魚など身近な食材に潜む危険な細菌への対処法からリサーチ!
『腸管出血性大腸菌(O157、O111など)』
「食中毒で特に話題になったこの菌は主に牛肉に多く、生で食べるのは非常に危険。しかし75度で1分以上加熱すれば死滅します。菌はカットした断面に付着しているので、ステーキ肉は表面を焼けばOKですが、加工されたハンバーグなどは、中に菌が混ざっている場合があるので、中心部までしっかり火を通してください」(社団法人 日本食品衛生協会 高谷幸さん)
●特徴
「牛などの腸管内に生息。処理段階で肉に付着し出荷されることも。出血性大腸炎などをおこす強い“ベロ毒素”を産出。脳症など死に至る場合もある凶悪な菌」(高谷さん)
●撃退法
「必ず火を通して食べること。特に抵抗力の弱い高齢者や乳幼児の生食は避けるべき。また、肉に触れた手や箸はよく洗うなど、衛生管理の徹底を」(高谷さん)
『カンピロバクター』
「『カンピロバクター』は、ノロウイルスに次いで食中毒発生件数の多い菌です。特に鶏肉やレバーにはこの菌が付着している可能性も高く、生で食べるのは避けたほうが安全です」(上田さん)
●特徴
「牛や鶏の腸管内に生息。特に鶏肉に付着しやすい菌で、100個ほどの少量数でも食中毒を起こします。まれに手足がマヒするギラン・バレー症候群を発症することも」(高谷さん)
●撃退法
「乾燥や熱に弱いので、鶏肉やレバーは75度で1分以上の加熱調理を。牛の場合、胆のう内にこの菌がいるため、レバーの生食はできるだけ控えて」(高谷さん)
『腸管出血性大腸菌(O104)』
「欧州で猛威をふるった『O104』はもやしが原因の可能性が高いといわれています。もやしは、水を与え、光を遮断して育てるので、菌も繁殖しやすい環境に。生で食べることは避け、よく洗い、熱湯をかけるなどして、しっかりと殺菌しましょう」(上田さん)
●特徴
「『O157』と同じ腸管出血性大腸菌の一種。通常は牛の腸管内にいるが、菌に汚染された牛の糞尿を使った堆肥で育てた野菜で発症することも」(高谷さん)
●撃退法
「熱に弱いので、75度で1分以上加熱すれば死滅します。汚染された土壌で育った野菜は、よく洗ったくらいでは菌が死なないので、熱湯で殺菌を」(高谷さん)
※女性セブン2011年7月14日号