退陣表明をしたにもかかわらず、いまだ暴走を続ける菅直人首相。 退陣を表明した総理大臣が内閣改造するなど前代未聞だが、それも最後の最後まで権力を振るうためだ。
細野豪志氏を原発相に起用した一方、馬淵澄夫・首相補佐官と内山晃・総務政務官の2人を解任した。
馬淵氏は細野氏とともに原発事故対応にあたってきたが、菅政権の命運尽きたと見るや、これまで誉めそやしてきた増税計画に突如反対し、ポスト菅の代表選出馬に意欲を見せた。
内山氏は小沢一郎・元民主党代表に近く、内閣不信任案採決を棄権した。人気が落ちた蓮舫氏もクビを切られた。裏切り者、敵、用なしがポイ捨てされたことは、この改造の意図を示唆している。
しかしながら、何もしていなかった節電大臣の蓮舫氏はともかく、馬淵氏は原発の汚染水対策の責任者だった。今も漏れ続ける汚染水は事故収束の最大の難関だ。“原子力に強い”はずの菅氏は、馬淵氏の後任さえ決めていない。もう震災も原発事故も、彼の目には見えていないのだろう。
※週刊ポスト2011年7月15日号