現職官僚ながら菅政権の公務員制度改革や東電処理、電力行政を真っ向から批判してきた経済産業省の古賀茂明氏(大臣官房付)に対し、松永和夫・経産事務次官が「7月15日付」で退職勧奨を突きつけた。
古賀氏と近い経産官僚がいう。
「古賀さんは、いわば菅政権の恥部も、霞が関の裏のシステムもすべて知っている。現職官僚の立場のままそれを暴露して世に問い、改革を進めようと捨て身になっている。
霞が関の旧体制と、そこを基盤に権力を握っておきたい菅政権の政治家は、古賀氏の行動を認めれば、“現職でも改革ができるんだ”と改革派官僚があとに続くのではと危機感を強めている。だから政権が代わる前に粛清しなければならないわけです」
古賀氏は仙谷由人・官房長官(当時)に国家公務員制度改革推進本部事務局審議官を“解任”された後、この1年半、経産省の「大臣官房付」という閑職に追われ、庁舎内の個室で事実上の“蟄居謹慎”状態に置かれながら、“たった1人の反乱”を続けてきた。
民主党内には、「古賀さんを辞めさせるべきではない。公務員改革の事務局長などで仕事をしてもらうべきです」(長妻昭・前厚労相)という声があるが、「海江田万里・経産相まで役人に丸め込まれて古賀さんを煙たがっており、省内では孤立無援。退職勧奨は拒否できるが、本人も大臣官房付のままで腕を振るえない政権にとどまることに懐疑的になっている」(古賀氏に近いOB)という。
仙谷氏にしろ霞が関にしろ震災復興など二の次、三の次。自分たちの恥部を握る古賀氏の“抹殺”しか頭にはないのだ。
※週刊ポスト2011年7月15日号