国民不在で政局が迷走を続ける一方、被災地支援や国民生活はどんどん追い詰められている。経産省の現役幹部でありながら、実名で政治・行政の機能不全を告発する古賀茂明氏が有権者不在の菅政権を一刀両断する。
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――今、菅直人首相の下で官僚はサボタージュしていると聞きます。
古賀:菅さんは皆に嫌われてしまった。多くの官僚が口を揃えて言うのは「勝手にやれば怒られる。相談すれば決めてくれない」というものだ。責任を取らないリーダーの下では官僚も動けない。
――退陣表明した後の首相の下ではますます霞が関は動かないのでは?
古賀:官僚は決まったことはできるが、政治判断が必要なことはやらない。総理が替わっても民主党として継続性があればいいが、菅さんが引きずり降ろされるならば、その指示もひっくり返される可能性がある。動くだけムダであり、一生懸命やるインセンティブがないからますます動かない。そしてさらに悪いのはすべて「菅が悪い」と総理のせいにできるからサボる。
震災復興ではいつもと違ったことが次々に発生する。そのため判断が必要となる。平時以上に、責任を持って判断するリーダーシップが政治に求められるにもかかわらず、発揮できていない。
そのため霞が関は止まっている。こうしたいびつな状態が長く続いてしまっているが、もう被災地も国民生活も限界だと思う。国益を損ねている。
※SAPIO 2011年7月20日号