戦後の焼け野原から、日本が立ち直る姿を目の当たりにしてきた野村沙知代さん(79)と、終戦直後の苦しさを体験し、被災地へボランティアで治療にも行った『高須クリニック』の高須克弥院長(66)――旧知のふたりが忌憚なく語り合った。
野村:「いまの日本はリーダー不在。強力なリーダーシップを発揮できる人がいない。政治家もテレビに出てくるのは、どうしようかって青二才みたいなのばかりで、責任とって『おれが全部やる』みたいな統率力のある人がいない。昔は『何とかなる』という言葉があるように、町内会にだって、何とかしてくれる、そういう人がいた。それが戸惑いばかりで、リーダーぶる人しかいない」
高須:「確かに。日本は織田信長以来、国を引っ張っていく強いリーダーが出てないですね。4月に石巻に行ったとき、着いてすぐ往診に行きたいといったら、石巻は治安が悪いから外に出ちゃダメだっていわれたんですよ。実際にはそうじゃなくて、噂だけがひとり歩きしてたんですけど。医者も、自衛隊がついて移動させてくれれば、たとえどんな状況であっても診察に行けたんですけどね。ボランティアが自衛隊を使っちゃいけないという規定があるようで」
野村:「助けるっていうときは、そんなこといってられない。そんなとき現場判断で強いリーダーシップをとる人がいたら、緊急の場合に対応できる。うちの夫いわく『女が強くなると、その国は栄える』というけど、やっぱり女の務めと男の務めというのは違うんですよ。男が弱くなってる。弱き者、汝の名は男なり。江戸時代、米沢藩に上杉鷹山という藩主がいて、財政危機を立て直しましたが、日本を救った彼のようなリーダーがいまお留守ですね。キツネを馬に乗せて走っているような男ばかり。
高須:「何かあったときの責任をとりたくないってことなんでしょう。実際、責任をとらなくなってる」
野村:「鶴の一声を発する人がいなくなった」
高須:「大物がいない。あなた様のような政治家がいればいいんですけどね(笑い)」
野村:「私がやってたら、とっくに暗殺されてるわよ(笑い)」
※女性セブン2011年7月14日号