被災地で数々の暴言を吐いた「ドラゴン松本」こと松本龍復興担当大臣が急転直下、辞任した。全国を憤慨させた傲慢な人は実は国際会議の名議長でもあった。その差はなんなのか。作家で五感生活研究所の山下柚実氏は、こんな分析をする。
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松本氏の「何様」ぶりが、大騒ぎを引き起こし、辞任騒動に発展。
それにしても、日本全国数千万の人が、一瞬にして映像からこの人の「高ピー」さを感じ取ったのだから、興味深い現象です。
もちろんその原因は「知恵を出さなければ助けない」といった上から目線の発言内容や、「~しろよ」という命令口調にあるのですが、しかし、私はそれだけではないと感じています。
ニュース画面を見ていて、最初に気になったのが、この人の「指先」です。
宮城県を訪ねた時の松本大臣は、村井知事を前に、さかんに人差し指をたて、何度も村井知事を指さしながら話をしていました。
人を指さすボディアクションに、理屈を超えて「人を食った態度」を感じてしまうのは、私だけではないはずです。
もうひとつ気になったのが、この人の「腕組み」スタイル。
岩手県の達増知事を前に、腕を組みながら会談していました。本人も無自覚なのでしょうが、これも相手に威圧感を与えます。
「目は口ほどにモノを言う」と言いますが、「手」をあなどってはいけないのです。「手も口ほどにモノを言う」のです。
米国の心理学者アルバート・メラビアンによれば、コミュニケーションにおいて、言葉によるメッセージは7%、声のトーンや口調が38%、ボディランゲージが55%を占める、という数字が示されています。
もし、言葉の意味そのものよりも、声の調子や身体や手の動きに相手が反応する可能性がある、とすれば。
政治家は自分の身体動作、身振り物腰について、演説の内容以上に謙虚に学ぶべき、という教訓かもしれません。
ラジオの時代ならさほど問題にならなかったことが、映像の時代には大問題になるのです。そして時代は3Dに突入。このニュースを3D映像で見たら、嫌悪感はもっと高まるかもしれません。
ちなみに、今回のことでがぜん松本大臣の人物像に興味が沸き、どんな人なのか調べてみました。すると、昨年10月の国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10 )で議長を務め、利害の対立する国家間で議論をまとめあげ評判をあげたと知り、不思議な感じがしました。
なぜ、それほど交渉能力がある人が、今回のような物議を醸してしまうのか?
推測するに、国際会議では通訳が入り、英語でコミュニケーションをとるので、母国語間で問題となるような微妙なニュアンスやボディランゲージもさほど問題にならないのではないでしょうか。
また、万が一、「~しろよ」と口を滑らせても、通訳はきっと「~してください」と翻訳してくれるでしょう。ということで自動的にこの人の弱点が薄まりそうです。お辞めになった後はぜひ、海外でご活躍されることを期待しましょう。