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愛猫家に支援訴え 被災地「猫島」の義援基金3000口集まる

 東日本大震災から3か月あまり。巨大津波から生き残った猫とともに復興をすすめようという島がある。宮城県石巻市田代島。島民70余名よりも猫の数が多い島は、山へ逃げ込んだ猫が港や集落へ戻りつつある。牡蠣養殖や漁を中心とした営みのなかで、猫は大漁祈願の地鎮としても大切にされてきた。漁業の手立てを失ってしまったが、島民は猫と復興へ向けて動き始めた。

「逃げ足は私らより速かった。猫の野性の強靭さに驚いています」(漁師・中小路昇さん)

 顔や足に傷のある猫や、地肌が露出して化膿している猫も。神経質になってビクつく様子もあるが、刺し網の小舟がつくと元気に駆け寄る。田代島が猫の島と知られたのは5年ほど前。テレビやネットで「猫の楽園」と紹介された。観光客が急増し2010年の来訪者数は1万人を超えた。猫は、過疎化、高齢化の進む集落に人を呼んだ。

 行方不明者1名。人的被害は少なかった。しかし電気と電話は復旧しているが、水道の復旧はまだ。倒壊した家屋がそのままの状態で並ぶ。こうした背景をもとに、島民は漁師や民宿を中心に基金プロジェクトを立ち上げた。猫にもうひと役をかってもらおう。牡蠣棚、漁業設備、漁網…ないないづくしの現況を全国の愛猫家に訴える。「牡蠣養殖の再生が島の復興の第一歩。人と猫が共生できる姿を取り戻したい」(前出・中小路さん)。

 義援基金はひと口1万円。出資者には猫グッズと牡蠣が成長した4~5年後の直送を約束。現在、約3000口が集まっているという。猫の島は猫との絆で復興をはかる。

取材■阿部正人

※女性セブン2011年7月14日号

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