日本が未曾有の大震災に襲われてから4か月が経とうとしている。復興に向けて歩み始めているとはいえ、まだまだ先行きが見えない現状に、被災者でなくとももどかしさを感じる。未曾有の震災被害から私たちは何を学ぶべきなのか、またこの先どうすべきなのか。 戦後の焼け野原から、日本が立ち直る姿を目の当たりにしてきた野村沙知代さん(79)と、終戦直後の苦しさを体験し、被災地へボランティアで治療にも行った『高須クリニック』の高須克弥院長(66)――旧知のふたりが忌憚なく語り合った。
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高須「被災地で、米はたくさんあるのに野菜がなくて、ビタミン不足で脚気になりかねない状態の人が何人もいて、じゃあバナナを持っていこうと思ったら、保存する場所がないからいらないと断られたんですって。被災者たちは食べたいといっているのに、結局、間にはいる行政が臨機応変に対応できないってことなんですよね」
野村「行政の人たちも、マニュアルでしか行動できない」
高須「医者もそうですよ。医師会から派遣されて支援に行った医者たちは、避難所で『具合の悪い人はいませんか』と聞いて回るんですが、本当に具合の悪い人はぐったり寝ていて、『はい』と手を挙げて医者のところまで移動できないわけですよ。でも、そうやって聞くことがマニュアルなので。そこで、ひとりひとりに声をかけて回って、『大変でしたね』とハグしてあげるだけで随分違う。でも、いまの若い医者は、データを読んで分析して病名を考えるばかりで、心を見ない」
野村「情愛をかけることをしないし、誰も彼もがマニュアルでしか動けない。この前もデパートでエレベーターガールが、各フロアで止まって、乗ろうとしている客もいないのに外に出て『上に参ります』とかいってるから怒鳴りとばしたの。『客もいないのにマニュアルか?』というと、外に出て2回ずついわないと怒られるんですって。それがマニュアル。そういえば、震災直後に、枝野(幸男・官房長官)が作業服の襟を立てて出てきたでしょ。『こんなときに襟を立てるとは何事よ!』と枝野に電話かけてやったわよ。姿勢を考えろって」
高須「サッチーさんに現場指導させたかったなぁ(笑い)」
野村「菅(直人・首相)にしても、クールビズだからってノーネクタイで会見するのは違うでしょ。だって、それがすぐさま海外にも流れるわけ。一国のトップなんだから姿勢を正してやらないと。国連ではネクタイとかするくせに。国民をバカにしてる。そもそもクールビズなんて英語はない。他国に笑われる。勝ってかぶとの緒を締めよというように、男にとってネクタイはかぶとの緒。閣僚は本会議くらいはちゃんとネクタイをするべき」
※女性セブン2011年7月14日号