米国を驚かせた最初の日本車「フェアレディZ」
ベストセラー『間違いだらけのクルマ選び』著者として知られる徳大寺有恒氏は辛口評論家として知られるが、そんな同氏が大人の男が乗るべきスポーツカーとして絶賛するのは「フェアレディZ」だ。
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一度は生産中止の憂き目にあったものの、やはりフェアレディの名は日本車の中で独自のステータスと歴史を持っている。いまだに世界中に旧車のファンがいる。アメリカをビックリさせた最初の日本車というストーリーは、特に中高年のカーマニアの心を激しく揺さぶる。それだけに、02年に高性能なスポーツカーとして復活したことは、彼らにとって大きな喜びだったと思う。
6代目Zは、全長4250mmと先代より65mm、ホイールベースで100mmも小型化された。それでもファミリーカーに慣れたユーザーには、ちと大きく感じるかもしれない。とはいえ、この国産スポーツカーは決して扱いづらくない。
V型6気筒3.7Lエンジンは336psとパワー充分で、6速マニュアルか7速オートマで操る。中高年ドライバーは、何も無理してマニュアルを選ぶ必要はなかろう。ATとエンジンとの相性はなかなかのものだし、F1タイプのパドルシフトのフィーリングも十分にスポーティだ。ポルシェ・ケイマンの半額でこのクルマが作れることを日本人は誇っていい。ナビシートに長年連れ添った女房を座らせ、しばし青春時代に戻るのも悪くはないはずだ。
※週刊ポスト2011年7月15日号