ビジネス

市場平均株価50%減の中で「働きがいのある会社」は50%増

 人材育成サービスのリクルートマネジメントソリューションズ(以下、リクルートMS)が「働きがいのある会社」の株価を調べたところ、いずれも市場平均を上回っていることがわかった。

 ここでいう「働きがいのある会社」とは、米国に本部を置く専門機関「Great Place To Work(R) Institute」が世界40か国以上で用いられる「信頼」や「誇り」「連帯感」といった共通基準で各企業を調査したもので、毎年ランキング形式で発表されている。日本企業を対象とした2011年版では1位のグーグルに続き、企業向けシステムを手がけるワークスアプリケーションズ、日本マイクロソフト、アサヒビール、サイバーエージェントなどがランクイン。

 リクルートMSではその中から上場する13社の株価を分析、TOPIX(東証株価指数)と比較した。まず、2007年3月末時点の株価を「1」とすると、2011年3月末時点でTOPIXは「0.51」と半分近くまで下落しているのに対し、13社中11社が市場平均よりも下落率は小さく、中にはサイバーエージェントなど株価を大きく上昇させた企業もあった。

 次に、これら13社の株で「働きがいのある会社ポートフォリオ」を組んだ場合、前述の期間のリターンは実に「プラス52.9%」に上り、同時期のTOPIXがマイナス49.3%だったことを考えると、市場全体が低迷する中で非常に高いパフォーマンスだったといえるだろう。

 さらに、この期間を内閣府が「景気の谷」と判定した2009年3月で分けて見ると、2009年3月までの景気後退期でも、それ以降の景気回復局面でも、いずれも市場平均を大きく上回って推移していたという。

 なぜ「働きがいのある会社」の株価はこんなにも強いのか。調査を担当したリクルートMSの主任研究員・本合暁詩氏は「サンプル数が少ないので、この結果のみでは断言できませんが」と断ったうえで、こう分析する。

「企業の株価は現在の業績ではなく、将来の業績によって決まるといわれるように、将来の『稼ぐ力』によって決まります。勤務している会社や経営者を『信頼』できる、自分の仕事に『誇り』を持てる、仲間と『連帯感』が持てるといった『働きがい』を強化する取り組みは、短期的にはコスト上昇など組織全体の効率性を損なう可能性もあり、企業の業績には結びつきません。しかし、これらの施策が功を奏し、将来的・長期的な企業の利益の向上につながっていく。そのように株式市場で評価されているということを表わしているのではないでしょうか」

 急激なリストラなどによって利益改善を図ることは所詮「急場しのぎ」に過ぎない。折からの不況に「大震災」「電力危機」も加わる中、なかなか難しい課題ではあるが、時間やコストをかけてでも社員の「働きがい」を引き出す会社が高い評価を得る時代が到来しているのは事実のようだ。

関連記事

トピックス

「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン