テレビ局が盛んに叫んできた、「地デジ化に対応するための設備投資負担でテレビ局の経営が圧迫されている」という“お涙ちょうだい”の芝居に騙されてはならない。自分たちが負担すべき費用を税金で肩代わりさせるための屁理屈だからだ。
「地デジ化のために、キー局で100億円、地方局で50億円程度のカネがかかったが、これは見込みよりずっと安く済んだ。当初、民放連は『地デジ化はテレビ局の負担が大き過ぎる』として、反対のポーズを取ったので、その後の総務省との水面下の交渉で国から相当な補助金を引き出せた」(地方局幹部)
これまでに周波数変更に伴うアナ・アナ変換やデジタル中継局建設費といった用途に、税金が3600億円も投じられてきた。
総務省が「免許」という生殺与奪の権を握りながら、税金投入でさらに恩を売り、テレビ局を飼い馴らしてきたことにも理由がある。民放の報道番組を見ればよくわかるが、テレビには体制・官僚批判など全くない。権力者の宣伝機関を税金で肥えさせることにためらう理由はなかったのである。
※週刊ポスト2011年7月15日号