いま、民放各局の視聴率が著しく落ちている。たとえば、1997年下期のゴールデンタイムの総世帯視聴率は71.2%だったのに対し、2010年下期は63.9%に(各民放・NHKの決算書などから算出)。テレビ局は視聴率が取れない、スポンサーも広告料を渋る――こうなってくると、どうなるか。かくして視聴者は二の次で、スポンサー受けのよい「低予算番組」が続々登場してくるのである。民放の某バラエティ番組のプロデューサーが耳打ちする。
「ウチの番組では、この2年間で制作費が20%以上は削られている。ひどいところでは、40%減という番組もある。当然コストをカットしなければならないが、そのやり方が問題です。
TBSでは2009年からゴールデンタイムに制作費が安い報道番組を、ということでフリーになったばかりの小林麻耶をメーンに据えた『総力報道!THE NEWS』を持ってきて大コケした。
そのため、それ以降はどの局もバラエティ番組がゴールデンの主力なのですが、制作費が安いと、どうしてもセットを使い回せて2本撮り、3本撮りが可能なクイズ番組が増えてしまうんです……」
安易な番組作りは視聴者にも見透かされてしまう。視聴率暴落は、インターネットや録画機器の問題だけでなく、そもそもの「番組の質」によるところが大きいのではないか。
※週刊ポスト2011年7月15日号