ベストセラー『がんばらない』著者の鎌田實氏は、長野県の諏訪中央病院の名誉院長でもある。チェルノブイリの子供たちへの医療支援に取り組む傍ら、東日本大震災の被災地にも足繁く通っている。以下は、鎌田氏による「復興とお金」に関する報告と提言である。
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スイスの国際経営開発研究所(IMD)の『世界競争力年鑑』の「政府の効率性部門」ランキングをみると、先進国59か国のうち日本は50位。政府がスピーディーに動かないから、効率が悪いのだ。
その順位の通り、震災の義捐金約2700億円は、未だに被災者の元に届けられてはいない。市町村のところで、留まっているばかりである。被災者に、お金が配られなければ、お金を遣うこともできないので、お金が回らない。地域や日本全体の経済が回らない。
野党に「早く仮設住宅を建てろ」と責め立てられて、政府は必死になって目標数を達成しようとしているが、建設地が街の中心地から遠かったりして、キャンセルが多数出ている地域もある。
それならば、仮設住宅を建設しないで、その費用を新築しようとする被災者に上乗せしてあげればいいのである。新築するためにローンが組まれて、地元の金融が元気になる。どう効率よくお金を回転させるかを、もっと政府が考えなければいけない。
※週刊ポスト2011年7月15日号