昨年の猛暑ではエアコンが市場から消えたが、今年はそれよりもひと月早く扇風機が売り場から消えた。そして夏を前に、新聞に「節電熱中症」の文字が躍るようになった。バカ売れした扇風機だけでやせ我慢をして過ごすのか、それともエアコンや冷感グッズとの組み合わせでしのぐのか。消費者の智恵がこれほど試される夏はない。
富士通ゼネラル宣伝部の秋場竜一氏は、エアコンの使い方について「節電のためには『エアコンのフィルターを1~2週間に1回掃除する』『室外機の周りにモノを置いて空気の通り道を塞がない』『設定温度を28度にして、さらに暑ければ扇風機などを使う』などを実行するといいのです」とアドバイスする。
とはいえ、エアコンの設定温度を高めにすると「意外に厳しいなあ」と世間は気づいてきた。ここからは「生活の智恵」の出番だ。
接触冷感素材、というものをご存じだろうか。繊維表面に触ったときに熱の移動がしやすく、触った瞬間「ヒヤッ」とする素材で、さまざまな業界が注目。懐かしい「ステテコ」も新素材で復活をしている。
『冷やテコ』を開発したワコール・広報宣伝部の白鳥貴子氏は、同商品をこう説明する。
「当社ではもともと『部屋テコ』という、くつろげるアンダーウェアとしてステテコを復活させていました。今年は暑さ対策として、接触冷感素材を採用した『冷やテコ』を加えたんです。扇風機などと同じ『昭和テイストの暑気払い』といわれ、ヒヤッとしたはき心地が特徴です。汗をかいてもすぐに繊維が吸収し、さらっとした肌触りが持続するので、世代を超えて好評をいただいています」
※週刊ポスト2011年7月15日号