30度を超える真夏日が続く中、実際の気温以上に暑苦しく感じるのが、政府や東電、マスコミが叫びまくる節電キャンペーンだ。しかし、国民に苦痛を強要する人たちはホントに節電しているのか。本誌の「温度計Gメン」が関係各所を抜き打ち調査した。
本誌が調査したのは7月5日の午後1~3時。この時間帯の都心の気温は31~32度。
●経産省 29.4度(1階受付ロビー)
まずは7月1日に電力使用制限令をだした経産省。「監視役」の立場を自覚しているからか、同省の節電目標は一般より5%高い20%となっている。
1階ロビーには半袖ブラウス姿の受付嬢がいるが、来省者は背広姿が目立つ。空調の吹き出し口から風を感じたが、29.4度という気温からして、「設定は28度」(同省厚生企画室)は嘘ではなさそうだ。
ただし、東北地方から来たという青年会議所関係者は、「陳情する身だからネクタイにスーツです。お役人さんはクールビズでうらやましい」と愚痴をこぼした。
●環境省 28.9度(1階ロビー) 28.0度(1階喫茶店)
経産省とともに節電の旗振り役となっている環境省は、全省庁の中で最も高い28%の節電目標を掲げている。1階ロビーの気温は28.9度だが、スーパークールビズに身を包んだ職員たちは実に涼しげだ。ロビー内に熱気が籠もらない工夫がなされているのか、記者の印象では経産省より涼しかった。
さらに省内にホットスポットならぬ“クールスポット”があった。1階奥にある喫茶店の中は28.0度。外気との温度差を考えれば、設定温度は28度以下と思われるが、「庁舎内の店舗も28度設定です」(同省広報室)という。ホントかな?
●東京電力本店 28.9度(受付横ロビー)
節電地獄の元凶となった東電では、ロビーの照明はほとんど点いていない。半袖姿の警備員はしきりにハンカチで汗を拭っていた。「記者会見場では説明する東電役員たちもダラダラと汗を垂らしている」(大手紙記者)というが、半分以上は冷や汗かも。
※週刊ポスト2011年7月22・29日号