ベストセラー『がんばらない』著者の鎌田實氏は、長野県の諏訪中央病院の名誉院長でもある。チェルノブイリの子供たちへの医療支援に取り組む傍ら、東日本大震災の被災地にも通っている。以下は、鎌田氏による日本復興への提言である。
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6月21日に発表になった、電通の「今年のボーナスの使い方」によれば、1位は国内旅行、2位はLED電球の購入、 3位は贅沢な外食だった。人々のお金の遣い方は、実にいい線をいっている。
LEDは節電にもなり、購入費用は高いが、長い目でみれば、家計の帳尻は合うはず。電球を買えば、家電メーカーの景気もよくなる。外食産業も震災で大打撃を受けたが、秋口からはだいぶ戻ってくるはずである。
中でも大事なのは、観光業である。日本国内を日本人が旅行することは大いに結構。その一方で、2010年、861万人までふくらんだ訪日外国人客を再び戻す必要がある。震災の影響で、一時期、成田の入国は6割減にもなった。
震災と原発事故で、外資系の企業は、その本部を関西に移したところもある。日本国内ならまだしも、香港や上海やシンガポールにまで移した所もあるというから、日本の空洞化がますます進まないように、政府はしっかりと舵取りをしていかなければいけない。
そのためには、日本人がまず東北を旅行して安全をアピールすることだ。僕はこれまで7年間、障害者の人々を連れて『鎌田實と温泉に行こう』という旅の企画を行なっている。これまでは、毎年、信州の温泉で行なってきたが、今年は、東北。被害が少なかった宮城県松島町に行く。
日本三景の一つだ。松島町の大橋町長も大歓迎してくれるという。松島の遊覧船に乗り、郷土芸能のすずめ踊りも特別に見せてくれるそうだ。
障害が重い人でも、福祉大学のボランティアが参加するから大丈夫だ。今回は病気のない元気な人もオーケー。カマタの講演会もある。東北を応援したいという人は、ぜひとも参加してほしい。
※週刊ポスト2011年7月15日号