子供を持つ母親や出産を考える女性たちは、放射能への恐怖と不安に怯え、一部にはノイローゼに近い症状の人々も出てきている。離婚、子づくり延期、中絶まで考えたり、沖縄に疎開するのが一部でブームにもなっている状態なのだという。
こうした行動によって多少なりとも精神が安定するならばいいが、放射能への不安は、行き過ぎると「ノイローゼ」になってしまう。
臨床心理士の加藤恵理・NPO日本心理カウンセラー協会理事はいう。
「震災や原発事故以降、将来のことが不安で日常のことが手につかない、という相談は多いですね。なかでも印象的だったのは、4月頭に湘南の海岸で、家族でバーベキューをしたときに、子供の相手をしていて偶然、海水を口に含んでしまった主婦の方です。
その女性は海水に放射能が混じっていたのではないか、飲んでしまって体が汚染されたのではないか、それが人に知られたらどうしよう、と不安を抱き、翌日から頭痛や嘔吐で体調を崩したといっていました。内科で診断してもらっても異常はなく、放射線の検査を相談しても気にすることじゃないといわれて相手にされず、ずっと不安なまま過ごしていたそうです」
※週刊ポスト2011年7月22・29日号