「脱原発」が叫ばれる昨今だが、脱原発をするにも使用済み核燃料をどう処理するかの問題が立ちはだかる。この問題をいかに解決するか、大前研一氏が提案する。
* * *
高レベル放射性廃棄物の海外・海洋投棄は、有害廃棄物の国境を越える移動と処分を規制したバーゼル条約および放射性廃棄物の海洋投棄を制限したロンドン条約により禁じられている。
となると、使用済み核燃料の貯蔵地候補は二つしかないと私は考えている。一つは福島第一原発だ。高濃度の放射能に汚染されてしまった福島第一原発から5キロ圏内については永久放棄せざるをえないだろう。
その中には7・8号基の建設予定地が空いているので、そこに永久貯蔵施設を造るのだ。もう一つはロシアである。日露平和条約を結び、シベリアのツンドラ地帯を貸してもらうのである。
そして今後20年くらいで既存の原発に寿命が来た時には、日本は「脱原発」国家に向かうしかないだろう。新規の原子炉はもう造れない、と見た方がよい。だが、20年間あれば節電国家に生まれ変わることができるし、代替エネルギーへの移行も現実的な選択肢となる。
※週刊ポスト2011年7月22・29日号