本誌が7月上旬に行った調査で、放射性物質が検出された海産物は、100品中28品にのぼり、3割という高確率で汚染が見つかった。スーパーや魚市場に並んでいた品々に汚染が及んでいたという結果から、規制値内とはいえ、放射性物質を含む海産物が私たちの食卓に並んでいると考えざるをえない。
元放射線総合医学研究所主任研究員の崎山比早子さんが指摘する。
「低線量の被曝だから絶対安全とはいえません。浴びた放射線量が低くても、放射線が細胞内の遺伝子を傷つけ、細胞の修復ミスによってがんを引き起こすかもしれないことには変わりはありません。将来的に日本でがんを発症する人が増える可能性は充分考えられます」
特に注意すべきは子供だという。成長期の子供は大人よりも細胞分裂が盛んで、放射線で遺伝子が傷つけられた際、その修復ミスが多くなり、がんの発症リスクが高まってしまう。一般的に大人の3~5倍のリスクがあるとされる。崎山さんはチェルノブイリ原発事故の教訓からも子供への影響は明らかという。
「チェルノブイリの事故で汚染されたベラルーシ共和国で、亡くなった10才以下の子供を多数解剖調査した医師がいます。その医師の研究によると、子供の甲状腺や心筋には重量あたりで大人の数倍のセシウムが蓄積していました」(崎山さん)
セシウムはがんを引き起こすだけでなく、他にもさまざまな危険があるという。
「チェルノブイリ後の研究では、セシウムの脅威はがんだけでなく、心臓疾患や内分泌障害、免疫障害などが指摘されています。スウェーデンの汚染地帯では胎児の被曝によりIQ及び学力低下が見られたというデータもあります。たとえ少量でも放射性物質に汚染された食品の取り扱いには充分な注意が必要です」(崎山さん)
※女性セブン2011年7月28日号