「世界一の歯車へ」を標榜するUst番組「ザ・サラリーマン」。その構成を務めるDJサエキング氏には、全国のサラリーマンから「ザ・サラリーマン道」ともいえそうな“サラリーマンを生き抜く術”“サラリーマンの様式美”に関する目撃談・体験記が続々と寄せられる。今回は不動産の会社に勤めるO氏(35歳)から。
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不動産業界において“土地神話”に代表されるこれまでのイケイケな商いの方法が全く通用しなくなって久しい。不動産マンと言えども、建築、金融、税制、環境、税制などその知識と運用テクが求めれるようになった中、地方の中小規模の不動産の会社では遅れながら「根性で販売してきた」人間が、突然「頭で売らされる」悲劇が起きている。
O氏が勤める会社は先代の創業者が1980年代のマンションブームで財を成した営業至上主義の中堅不動産会社だ。O氏が語る。
「4年前に先代の次男が跡を継いだんです。アメリカでMBAを取得していると聞いていたので、何か変わるんではないかとぼんやりとした期待をしていたんです。しかし、裏切られました。彼は会社を変えたいのではなく、MBAで学んだことを実験しているだけなんです」
彼の教材にされた社員は不憫で仕方ないが、そんな中ある事件が起きたんですとO氏は続けた。これは、思考に論理性を求め効率性を高めていく事を目的にはじめた「ロジカルシンキング」の研修中の一コマだ。
「この研修の講師、実はMBAを取った社長がやっているんです。この日の研修では感情的思考で数々の伝説を残した部長のXさんがやり玉にあげられたのですが、ここからのXさんの巻き返しがすごいんです」
講師である社長に対し、なんと3つの例題をX部長が投げかけたというのだ。
X部長はこう言った。
「そんなにロジックで合理的な説明がつくのであれば、このケース社長だったらどうされますか?」
そこで出された3つのケースとは以下の通りだ。
【ケース1】
「クレーム」×「 ? 」=売上げ増
答えが、「お咎めなし」ならまだ分かるが、さらに売上げを上げる技があるとは!! これには社員も固唾を飲み込んで聞き入り、例題2にともなるとさらに難易度が上昇。
【ケース2】
「ドタキャン」+「 ? 」=SEX
まさか、ドタキャンがSEXをするための重要な要素を占めていたとは!! もしこれに効果性があるならばドタキャンが入った途端、高鳴る胸の鼓動を抑えるのはもはや不可能だろう。
【ケース3】
「朝飯」×「 ? 」=直帰
まさか直帰に朝飯が深く関与していたとは!!
ここで、「?」の回答については皆様にお伝えしたいところだがX部長が「これは私と我が社にとって重要なことなので、なんとか「?」の中身を言うことはご容赦いただきたいと語ったため残念ながらお伝えはしない。だが、X部長の講義は完全に社長の講義を「食って」しまったほど説得力があったのだという。
そんななか、社長の方に目をやると場を持っていかれただけに社長はしなだれており、X氏は傷口に塩を塗るかのようにこう続けた。
「言葉では論理性が欠如している人でも、当人の中では十分な理由と根拠と妥当性が備わって行動しているんです。結果というものがすべてを解説するのです」
そして、前出の例題の解答をロジカルに解説し、会場は大絶賛の嵐となったのだった。日々の超現実的な話――たとえば「朝飯」×「 ? 」=直帰のようなよく分からないものであっても、経験に裏打ちされたものであれば、MBAの勉強にも勝る説得力を持つことがあるのだ。それを現場叩き上げの直感部長・X氏は証明してみせた。だから、皆さんもMBAヤロウに負けずに、これまでの経験・勘を大事にしていただきたい。