東日本大震災の被災地の子どもたち80人の作文を集めた文藝春秋8月臨時増刊号「つなみ 被災地のこども80人の作文集」の売上が好調だ。18日0時現在、アマゾンでは文芸部門の1位で、新品は買えず中古品を定価以上の価格で買わざるを得ない状態だ。
同書の巻頭エッセイではイタリア在住の作家・塩野七生氏によるイタリアの週刊誌によるこんなコメントも紹介されている。被災地の子供たちの写真を受けてのものだ。
「面がまえがいい。日本は必らず復興する」
同書では被災地である名取市、仙台市若葉区、東松島市、石巻市、女川街、南三陸町、気仙沼市、陸前高田市の子供たちによる作文が80本並ぶ。作文を集めたのはジャーナリストの森健氏。同氏が宮城、岩手の避難所をまわり、子供たちに被災体験を書いてもらったのだ。作文集のなかには手書きのものも含まれており、何度も何度も書き直した様などをみることができる。
森氏は「はじめに」でこう書いた。
「過酷すぎる現実に向き合ってくれた子供たちの姿に、取材中何度も胸が締めつけられた。そんな私の背中を押してくれたのも、『この作文を日本中の人たちに読んでほしい』と真剣な表情で訴える子供たち、保護者の方々の思いである」――そんな「思い」をいくつかみてみる。
釜石市大槌町・赤浜小学校3年生の柏崎功真君は震災当日は両親と会うことができなかった、そして、両親との再開後、家を見に行ったらそこには何もなかった。
「自分の家を見にいってなにもなかったです。そしてぼくが『夢だったらいいなー。』と言いました。そしてお母さんも『そうだね。』とかえしてくれました。これからぼくは、前向きにがんばりたいです」
南三陸町・志津川小学校1年生の山内友陽君は震災当日・両親と会えず、寒い学校の教室の中で過ごした。その後両親とも会え、体育館での避難所暮らしが始まり、全国からの救援物資や自衛隊やボランティアの人が働く様を見てこう感じる。
「ぼくは、たくさんの人にたすけてもらっているんだなあとおもいました。こまっている人がいたら、ぼくもたすけてあげたいです。そんなつよくてやさしい人になっていきたいとおもいます。」