【書評】貯金ゼロ 借金200万円! ダメダメOLが資産1500万円を作るまで
【評者】中川淳一郎(ネットニュース編集者)
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年々給料が少なくなっていく若い世代の怨嗟の声がネットでは多数みられますね。「結婚」やら「少子化」といったキーワードをみると「年功序列時代の勝ち逃げ爺どもでさえ結婚では相当ひどい目にあってきたのに 今の時代の俺らが結婚なんかしたら精神が崩壊するよ」なんて声もあります。
「若者の車離れ」を指摘する記事をみると「お金がないからだよ。お金が余るほどあったらスポーツカーだって乗ってみたいよ」といった諦めともいえそうな嘆きの声だらけです。
本書著者の花輪陽子氏は1978年生まれ。『夫婦で年収600万円をめざす!二人で時代を生き抜くお金管理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)の著者としても知られるなど、「現実的な」お金の貯め方を指南する方です。
そして本書のなかでは、「お得」だと思っていたことが結局はお得ではなかったことなど説明します。
<「今日はポイント3倍! 欲しいものをまとめて買っちゃお!」「あと2000円分のコスメを買えば、限定ポーチのプレゼント? どうせだったらプレゼントも欲しいから、もう1個コスメ買おう」「カードで支払えばマイルもゲットできるわ」
以前の私はこんなことを大義名分に、本当は買わなくてもよいものまでたくさん買ってしまっていました。あとから考えると、これってとってもムダだったんです。まず、これが『罠』であることに気付くことから、私の『借金返済プロジェクト』は始まりました」>
この「借金返済プロジェクト」ですが、重要なのは「必要なものを必要なときにだけ買ったほうがずっと安上がりだということ」なのだと花輪さんはいいます。
で、振り返ってみると、まぁ、オレの周りの高給取りでも貯金ないヤツが多いわ多いわ。そいつらは、「オレ年収900万円だからそれなりの家に住まなくちゃな」なんて考えからタワーマンションみたいなところを借りて、「周囲の人とクルマで負けちゃいけないゾ!」とBMWやポルシェを買ったりする。
身につけるものも妙に高そうなものばかりで、会社以外で会ったら毎年のように新しい服を着ている。ガキは私立に通わせる。かくして年収300万円の堅実な人よりも貯金がないという事態になるのだ。こいつらは「本当に必要なもの」以外を買い過ぎているのである。
本書はほかにも具体的かつムリのない形の資産形成術がマンガと文章で書かれている。著者の花輪さんの懺悔を、オレの周囲の高給取りにも読ませたいぜ、ケッ。