いよいよ夏休みシーズン突入!……というわけで思い出すのが小学校時代の夏休みの自由研究だが、いま「大人の自由研究」が話題になっている。どこにでもあるもので手軽に科学の威力を実感でき、しかも子供に「すごい!」といわせる優れもの。その中のひとつとして、『大人のワクワク実験 インドア編』(小学館)にも収録されている「全力発電!自家製・俺電池」作りにチャレンジしてみよう。空前絶後の電力不足の今夏だからこそ、あらためて電池の仕組みを理解しておきたい。
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【材料】
■ビニールテープ
■導線
■銅板
■亜鉛板(トタン板でも代用可能)
■グレープフルーツ
■プロペラモーター
【遊び方】
【1】20cm程の長さに切った導線を2本用意する。
【2】【1】の1本をビニールテープで銅版に、もう一本を亜鉛板(トタン板)に留める。
【3】グレープフルーツを半分にカットする。
【4】半分に割ったグレープフルーツに銅板と亜鉛板を差し込む。
【5】導線をプロペラモーターに接触させる。
【6】プロペラは勢い良く回転し「グレープフルーツ俺電池」の完成!
『大人のワクワク実験』の著者で東京学芸大学附属高校教諭の岩藤英司先生が、この自家製電池の仕組みを解説してくれた。
「電池になる条件として、2種類の金属の間に『電解質』が介在している事があります。その電解質の役目を担うのが今回の実験のグレープフルーツです。負極(今回の場合は亜鉛板)と正極(銅板)を導線によって接続すると、電子は負極から正極に流れて正極で消費します。負極は再び電子を作りだしてそれを正極に送りだす。結果、負極→導線→正極……という電子の流れが出来あがります。これが、電池なんです」
う~む、かつて中学や高校の化学の授業でやったような?
この電池の基本原理は、イタリアの物理学者、ボルタが1800年に発明した人類最初の電池「ボルタ電池」(別名ガルバニ電池)以来、まったく変わっていない。エネルギーを化学反応によって電力に消費する「化学電池」の基本メカニズムは、マンガン電池もアルカリ電池も燃料電池もこの「グレープフルーツ俺電池」と同じなのだ。ちなみに太陽光発電で注目のソーラーパネルは、光や熱などの物理変化によるエネルギーを電気に変換する「物理電池」だ。
最後に岩藤先生が更なる面白実験に関してアドバイスをくれた。
「今回は電解質にグレープフルーツを用いましたが、レモンでも大根でもジャガイモでも俺電池作りは可能です。ただし、実験で使った果物には亜鉛イオンなどの金属イオンが溶け出しています。絶対に食べないでください!」
撮影■太田真三