サッカー女子W杯ドイツ大会で悲願の優勝を成し遂げた日本代表「なでしこジャパン」。大会MVPと得点王を獲得する大活躍を見せた主将・澤穂希選手(32)だったが、ここまでの道のりは厳しい茨の道でもあった。
サッカーに青春のすべてを捧げてきた澤。中3のときには念願の日本代表入りを果たし、これからというときに、ショッキングな事件が起こる。代表の遠征から帰った澤は、両親から「大事な話がある」と、離婚することを突然告げられる。さらに追い打ちをかけるように、「どちらと暮らす?」と選択を迫られた。それまで家族がバラバラに暮らすことなんて思いもしなかった澤は激しく動揺した。澤は、当時の思いを著書『ほまれ』(河出書房新社刊)で、こう綴っている。
<散々悩んだ結果、母と暮らすことに決めた。(中略)家族が離ればなれになるのはつらかったし、そういう決断をした両親に対する怒りも感じた>
両親の離婚という現実は、まだ15才だった少女の澤には大きな傷となった。
「穂希ちゃんはご両親の離婚のことは学校でも決して口にすることはありませんでした」(中学時代の同級生)
学校への提出物の保護者の欄に、父ではなく、母の名を書くことに恥ずかしさを覚えたり、父親がいない寂しさに泣いたこともあったという。しかし、そんな澤を立派に育てあげたのも母だった。澤が小学校時代に所属していた「府ロクサッカークラブ」の関係者はこう話す。
「離婚したことでお母さんは働きにも出なければならなくなり、仕事に家事にと本当に忙しい日々でした。でも、そんな多忙な身にもかかわらず、澤の試合があると必ずといっていいほど応援に駆けつけていました。本当に立派なお母さんですよね」
※女性セブン2011年8月4日号