日増しに拡大している汚染牛肉の問題。原因は、牛を出荷していた農家が、放射性物質が付着した稲わらを牛の飼料として与えていたことだった。
「14日には、福島県浅川町の農家が牛に与えていた稲わらから、最高で9万7000ベクレルものセシウムが検出されました」(社会部記者)
この農家が使用していた稲わらは同県白河市の業者から購入したものだが、稲わらの汚染は福島にとどまらず、宮城県の業者からも大量の汚染わらが見つかり、山形、新潟の農家などにも販売されている。汚染わらを食べた牛は648頭に及び、その肉は東京、大阪、新潟、愛知、京都、愛媛、福岡など計38都道府県に流通している(7月18日現在)。
事態を重くみた政府は19日、福島県に同県産の肉用牛出荷制限を指示した。しかし、環境放射能に詳しい美作大学の山口英昌教授は“脅威”は福島県内にとどまらないという。
「稲わらから大量の放射性物質が検出されるのは、わらがあったところがホットスポットだったから。放射性物質は同心円に広がるわけではありません。福島原発からおよそ400km離れた静岡のお茶からも規制値を超えるセシウムが検出されたことからも明白です。出荷制限措置が福島県だけでは範囲が狭すぎます。少なくとも汚染された農作物が出た範囲までは検査するべきです。まして、稲わらは他県に飼料として出荷されるのですから」
実際、15日には宮城県の業者が保管する稲わらから国の暫定規制値の2.7倍のセシウムが検出されている。さらに新潟県の農家の稲わらからも規制値を超えるセシウムが検出された。
「少なくとも福島だけでなく、東北・北陸・関東地方の広い範囲で検査もすべきです」(前出・山口教授)
※女性セブン2011年8月4日号