菅政権の迷走の陰で震災からの復興が遅々として進まないなかで、国民の間には刑事被告人である小沢一郎・民主党元代表の「待望論」が高まるという奇妙な現象が起きている。
小沢氏といえば、昨年の民主党代表選で菅首相に敗れた後、政治資金問題で強制起訴され、民主党から党員資格停止処分を受けた。この秋に公判が始まる。
ところが、「YAHOO!みんなの政治」の調査では「次の首相にふさわしいと思う政治家」の1位(27%)で、2位の石破茂氏(19%)、3位の前原誠司氏(8%)を引き離し、ウェブサイト「BLOGOS」調査では、1人で59%もの支持を集めた。
ネット調査では、もともと小沢氏の支持は高いことが知られているが、「小沢嫌い」で世論調査を操作する大メディアでさえ、NHK(3位)、読売(4位)、産経(3位)と軒並み上位に顔を出す。
一体、国民は被告人・小沢に何を求めているのか。
政治評論家の有馬晴海氏は、こう分析する。
「株の世界では“国策に売りなし”といわれる。国の政策に沿った銘柄は上がるという意味だ。だが、この数年の総理は、選挙のために『公共事業はやらない』という人がいれば、逆に『公共事業をやる』という人もいて政策が定まらない。菅首相に至っては、政策が1日ごとに猫の目のように変わる。それが国民や経済界を最も不安にしている。
その点、小沢氏は18年間、自民党を壊すと言い続けて政権交代を実現させた実績がある。マニフェストや震災復興、経済政策でも、“小沢氏ならやるといったことはやるだろう”という期待につながっているのではないか」
※週刊ポスト2011年8月5日号