7月24日の地デジ化以降は、多数の「地デジ難民」を発生させるとの指摘もあるが、旗振り役の総務省・テレビ局は「移行に問題はない」と“安全デマ”を叫んで、最後までその姿勢を改めない。
片山善博・総務相は7月15日の会見で、「難民というけど、どういう人を指してるの?」「移行の進捗は想定内だ」そう言い放ち、あたかも“対応できない国民は放っておけばいい”との態度を示した。
広瀬道貞・民放連会長は同日、「24日以降、デジサポ(に派遣する)人員を1割増員」して、事後対応を強化する考えを表明し、“予防線”を張った。パニックを予見しているのなら、移行を延期すればいいだけの話ではないか。
完全移行を控えた最後の週末――。都内の家電量販店は、アナログから地デジ対応テレビに買い替える客で黒山の人だかりだった。売り場担当者は困惑した表情だった。
「昨年末の時点で普及率が95%に達しているという総務省の調査結果が出ていたので、今になって需要が急増することはないと思っていました。地デジ対応テレビは売れ筋の26型や32型を中心に品切れ状態。
入荷まで待ってもらうと移行日を過ぎてしまうため、在庫に余裕のある40型以上を勧めていますが、設置スペースや金額面から購入を断念されるお客様が多い。また、家庭内で1台は対応しているけれど、目当ての商品がないので2台目、3台目のテレビを地デジ対応に切り替えるのを先延ばしにする方も相当数います」
UHFアンテナを設置していない家庭では、設置工事が間に合わないという理由で地デジ化を諦めるケースも少なくないという。
「そういう方にはケーブルテレビへの加入を勧めるのですが、有料になるため、見合わせるお客様も目立ちます」(同担当者)
※週刊ポスト2011年8月5日号