飛行機内で暴れた末に逮捕、そして自殺。何がどうなっているのかわからぬうちに、次々に届いたTAIJIさん(享年45)のニュース。死の真相を追うなかで見えてきたのは、18年前『X』を脱退してからのジェットコースターのような人生だった。
1985年、YOSHIKI(45)に誘われ、Xに加入。1989年、アルバム『BLUE BLOOD』で、メジャーデビューを果たし、いきなりのミリオンを達成する。TAIJIさんは、このころ結婚もし、ふたりの子供をもうけている。しかし、人気が出るとともにメンバーの中の対立も増え始めた。
TAIJIさんはリーダーであるYOSHIKIに対して、「印税は平等に5等分すべきだ」といった主張をしたり、彼のドラム演奏にダメ出しをしたりと、何かにつけては衝突したという。そんなTAIJIさんを他のメンバーやスタッフも避けるようになっていった。
そしてある日、YOSHIKIからクビを宣告される。
1992年1月、3日間で15万人を動員した伝説の東京ドーム3DAYSを最後に、TAIJIさんは6年というあまりにも短いX時代に終わりを告げる。
だが、その後のTAIJIさんは転落していくばかりだった。脱退当初は、人気バンドに加入したり、自分でバンドを結成するなど、精力的に活動したが、結局、何をやってもうまくいかず、荒れた生活を送り、ついには妻から三行半を突きつけられる。帰る家さえ失ったTAIJIさんは、金が続くうちはホテルなどを転々としていたが、すぐに金は底をつき、行き着いた先は上野公園だった。
そこで寝起きし、話し相手すらいない当時、いつも死が頭の中をよぎっていたという。
X JAPANに詳しい芸能評論家の三杉武氏はこういう。
「母親に何度も助けを求めようとしたそうですが、プライドが邪魔をして、2年間もホームレス生活を続けたそうです」
そんなとき、耳に飛び込んできたのが、X JAPANのメンバーで、彼が唯一、認める存在だったhideさん(享年33)が首吊り自殺したという報だった。告別式に駆けつけたTAIJIさんだったが、その姿は他のメンバーから見たら、あまりにも情けないものだった。
「ホームレス時代に、見知らぬ男に角材で殴られ、顎も動かず、前歯も4本ないという姿だったそうです。これにはYOSHIKIさんも驚いて“歯を入れたほうがいい”と、治療費を貸したそうです。後日、TAIJIさんはそのお金を返しに行ったんですが、そのときに、6年の時を経て、ようやくふたりは和解を果たしたんです」(TAIJIさんに取材したことのあるプロインタビュアーの吉田豪氏)
※女性セブン2011年8月4日号