ジャーナリスト・武冨薫氏の司会&レポートによる本誌伝統企画「覆面官僚座談会」。呼びかけに応えた官僚は経産省ベテランA氏、財務省中堅B氏、総務省ベテランC氏、経産省若手D氏、内閣府若手E氏の5人。
今回は、九州電力・玄海原発の再稼働を巡り、6月26日に開催された佐賀県民向け説明会番組で、九電が社員や協力会社に対し、再稼働賛成の意見を投稿するよう指示した問題について話してもらった。説明会の主催が経産省だったため、同省の関与も取り沙汰された。この問題の責任をとって九電の真部利応・社長は辞意を表明した。
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――経産省の反論は?
経産D:(経産A氏をチラッと見て)わが省が指示したものではありません。
総務C:説明会を主催したのは経産省だ。そんな言い訳は通用しないよ。
――では、Aさん。
経産A:原発立地自治体の説明会には反原発団体が活動家を動員する。それに対抗するために電力会社が下請け企業の社員を動員することは昔から行なわれてきた。しかし、このタイミングで同じことをやった九電は脇が甘かった。もちろん、わが省を含めて反省すべきだろうね。
財務B:住民説明会で反対が多くなれば、再稼働に前向きになっていた佐賀県知事と玄海町長が心変わりすることを経産省が恐れていたのは事実でしょう。
経産A:省内調査では関与した者はいなかった、というのが結論だ。いくら何でもそこまではしない。
経産D:E君の内閣府は小泉内閣時代のタウンミーティングで質問者に謝礼を渡していた。どの省だって、似たようなスネの傷はあるでしょう。
内閣府E:(D氏を睨んで)ウチは当時の次官以下、幹部が大量処分されてケジメをつけた。今回の件で海江田万里・経産大臣は九電社長の辞任を求めたが、自分たちの責任には頬被りしている。西山英彦・審議官の女性スキャンダルだって、本人が更迭されただけで組織としての責任は明確にされていません。
経産D:あれは個人的問題ですよ。
※週刊ポスト2011年8月5日号