一時1オンス=1600ドル(1トロイオンス=約31.1035グラム当たり)の大台を突破した史上最高値を更新した金価格(ニューヨーク先物)。だが、日本の投資家は世界でも極めて有利に金に投資できると金に詳しいワールドゴールドカウンシルの日韓地域代表、豊島逸夫氏は指摘する。
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大震災に原発事故と未曾有の事態に見舞われた日本だが、実はそんな日本の投資家が金投資をするうえで世界的にも極めて有利なことはご存じだろうか。
それは昨今の円高によって、円建ての金価格はドル建てに比べて割安に買うことができるからだ。しかし、これ以上円高が進む要因は見当たらず、中長期的には円安に転じる可能性が高い。そうなれば、金価格上昇と為替差益のダブルでリターンを得られることも期待できるだろう。
そして、震災後、金価格を占う新たな要素も加わった。「銀」の台頭である。そもそも銀は熱伝導性の高さなどから工業用として使われることが多く、そうした実需に加え、銀ETF(上場投資信託)が登場したことで投資環境が整いつつあった。そこに今回の事故で原発への危惧が世界的に高まり、太陽光パネルの部材などとして銀が一躍脚光を浴びることになったのだ。市場規模が金の約10分の1と小さいこともあり、値動きも激しく、今やマーケットでは銀が主役になった格好である。
さすがにボラティリティ(価格変動率)が高すぎるので投資はお勧めしにくいが、銀が上がれば金も連れ高となるなど連動性が高いので、金の先行指標として銀価格もぜひウォッチしておきたい。銀が安くなれば金も連れ安となるので、そこは「買い時」と判断することもできるだろう。
さて、最後にタイプ別投資法を述べておくと、コツコツ長期的な運用を目指したい人は「純金積立」、株式投資の経験者で証券口座を持っている人は「金ETF」をお勧めしたい。特に『SPDRゴールド・シェア』(東証・1326)や『純金上場信託(現物国内保管型)』(東証・1540)は現物の裏付けがあるので安心感があるといえる。
今年のトレンドは「金も銀もウォッチしよう」に尽きる。だからといって焦る必要はない。今こそ腰を据えて、じっくり金を買いためたい。
※マネーポスト2011年7月号