福島第一原発事故後、各地の水道水から放射性物質が検出されて水への不安が一気に高まったが、6月以降、福島県を含め、水道水から放射性物質は見つかっていない。
放射線防護学に詳しい日本大学専任講師の野口邦和さんは、「水道水はもう安全と考えられます」という。
「5月ごろまで水道水に含まれていたのは放射性ヨウ素とセシウムですが、放射性ヨウ素は半減期が8日と短い。事故から4か月以上たったいまはもう消滅しています」(野口さん)
一方、セシウムは、原発事故によって東北・関東各地のコンクリートや土に降下し、いまも放射線を出し続けている。
「雨によってコンクリート上のセシウムはほとんど流されました。土にはまだセシウムが残っていますが、吸着力が強いため、雨で簡単には流れません。今後、川などに流れ込む量は多くはないでしょう」(野口さん)
取水源である川が安全なら、水道水も当然、安全と考えられる。にもかかわらず、人々がいまも水道水に漠然とした不安を抱き続けているのも、原発事故にかかわる国の説明が二転三転したからだろう。
人々が水道水を安心して飲むためには、まず政治の安定が必要なのかもしれない。
※女性セブン2011年8月4日号