国際情報

「動植物が絶滅していくと生態系が崩壊する」は大嘘と専門家

近年、「生物多様性」というキーワードをよく耳にする。いわく、「生物の種類が年々減っている」「絶滅危惧種を守らなければいけない」……至極ごもっともに思えるこれらの主張。だが、果たしてそれは本当か? 話題の新刊『生物多様性のウソ』(小学館101新書)を著わした武田邦彦氏が、そこに潜む偽善と欺瞞を喝破する。

* * *
開発や汚染、気候変動などの影響で、いま世界では1日に100種の動植物が絶滅しているといわれています。1年に換算すれば3万~4万種です。朝日新聞(2010年10月11日付け)の記事「生物の未来、世界が守る 国連地球生きもの会議開幕」には、「多様な生きものによって支えられている生態系は、パーツが一つ欠けるたびに、少しずつバランスを崩していく。やがて臨界点に達すると、修復できないほどの大きな崩壊を始めることになる」と書かれています。

人工的な環境に住み、自然と触れ合う機会の少ない現代人が感じる不安を掬い取るような文章です。しかし、生物種が減っていくと本当に生態系は崩壊するのでしょうか。

地球上に多細胞生物が繁殖し始めたのは5億5000万年前で、隕石の衝突などが原因で何度も絶滅を繰り返しながら、2億年ほど前の中生代には600万種にまで増えました。6000万年前にはメキシコ湾に巨大隕石が落ちて氷河期になり、恐竜が絶滅しましたが、環境の激変に適応した生物が進化を遂げて増え続け、現在では3000万種となっています。

では、600万種しかいなかった中生代には、生態系が存在しなかったのでしょうか。そんなわけはありません。生物種が減って隙間ができれば、そこへ他の生物や、環境に適応して進化した生物が入り込んで埋めるだけです。

ガラパゴス諸島には固有種がたった110しかしませんが、生態系は維持されているのです。むしろ外来種が入ると生態系が崩れると管理しているのですから、生態系を維持するのに「多様さ」は必要ないのでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン