3月の地震発生直後、為替相場は大きく動き、3月17日には1ドル=76円25銭という、円史上最高値を記録した。FX投資家にとっても悲喜こもごもだったが、FX歴6年の40代投資家・五十嵐裕さん(仮名)は、これまで6年間で積み上げてきた100万円の利益がすべて消し飛んでしまったという。以下、五十嵐さんの告白だ。
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正直、やられた~という感じです。それも、3月17日の早朝につけた1ドル=76円25銭という超円高だけで損をしたのなら、何となく諦めもつくのですが、私の場合、協調介入が入って、一気に円安に振れたところでも、大損をしました。100万円がパーです。
震災直後は、これで円安が進むと思って、ドル買いのチャンスをうかがっていましたが、何しろ当日は、地震でバタバタしていたこともあり、特にポジションは取りませんでした。
週末を迎えて気分は一段落ということで、週明けの3月14日に1ドル=81円台のミドルでドル買いポジションを持ちました。
しかし、なかなか円安が進まず、一応、1ドル=83円で決済しようと売り指値をしたのですが、結果的にこの注文は約定されず。そこから急激にドル安円高が進み、結局、成行でドルを売りにいったのですが、約定されたレートは、1ドル=77円でした。この時点で、損失額は88万円。これが3月17日の午前6時50分です。
その後、同じ日の午後12時半に、1ドル=79円20銭でドル売り注文を出して約定。またドルは下がると思って、ドルを売りに行ったのですが、介入の噂が出ました。それでもドル売りポジションをそのままにして頑張っていたのですが、翌日、協調介入が実施され、ドル高が進み、往復ビンタを食らった形になりました。このドル売りで、さらに10万2000円の損失を食らいました。
結局、この時点で100万円近くをすった形になったわけで、こうなると、もうヤケです。もうほとんど証拠金は残っていませんでしたが、一縷の望みをかけて、3月18日にもう一度、1ドル=80円75銭でドルを売りました。しかし、ここからさらにドル高が進み、最終的には1ドル=83円でドルを買い戻し、2万3000円の損失になりました。これが3月30日のことです。
結局、3月14日から3月30日までの半月で、100万円の証拠金が跡形もなく消えてしまいました。今まで、コツコツと利益を積み上げてきた利益が、一瞬で無くなってしまう。レバレッジをかけた取引の怖さを認識しましたね。
※マネーポスト2011年7月号