テレビでは「節電」の話題がひっきりなし。近年にない扇風機ブームの中、消費電力がたった「3W」ということでお茶の間の話題をさらっている『GreenFan2』。作家の山下柚実氏が、人気の秘密に迫る。
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欲しくても、実はなかなか手に入りません。店頭では軒並み在庫切れ、入荷待ち。ネット通販を検索してみても、売り切れ状態。
驚くのは定価3万4800円と、扇風機としては高いお値段だ。といっても、流行のマイナスイオンや、1/fゆらぎなどの機能がついているわけではない。スマートなボディ。一見、何の変哲もないシンプルな姿。しかし、この装置から吹く風は、通常の扇風機とは違う、というのだ。
『GreenFan2』を考案したバルミューダ株式会社社長、寺尾玄氏(37)が語る。
「通常、扇風機の風はファンによって渦を巻いています。だから人工的で硬くて、長時間あたると不快です。扇風機の首を振れば、一瞬しか風が肌にあたらず、結果としては部屋の空気をかき回しているだけになってしまいます」
では『GreenFan2』の風は?
「2種類の風がファンの前方でぶつかりあう時に、渦が消滅して、風の質が変化するんです。そこから、『面』で移動する風に変わります」(寺尾氏)
「面」で移動する風。それは自然の風に近い、という。だから、長時間気持ちよくあたり続けることができる。
「涼しいという感覚は、皮膚の熱を風が奪い続けることで生まれます。扇風機を使う目的って、『涼しさを得る』ことですよね? でも、本当にそうなっているのかなって、考えてみたんです」(寺尾氏)
※SAPIO 2011年8月3日号