死者39人、負傷者230人を超える大惨事となった中国・浙江省温州市の高速鉄道事故。中国鉄道省はこの事故の原因を「落雷による設備故障」と説明しているが、どうやら真相は違うようだ。元国鉄新幹線総局運転車両部長で鉄道工学の専門家・齋藤雅男氏はこう話す。
「落雷によって前を走っている列車が停車したのは事実です。ただ、そうなったときは後続車が自動的にストップするシステムになっているんです。今回は、そのシステムが働かなかった。それが問題なんです」
日本の新幹線ではありえないこととした上で、齋藤氏が続ける。
「高速鉄道車両の自動的に止まるシステムが、不完全だったんでしょう。落雷でなく、こちらが本当の原因と思われます」
事故からわずか1日半後に高速鉄道の運転は再開。政府は事故車両を破壊し、地面に埋めるという措置をとった。
「車両を調べて原因を追究しなければいけないのに、中国政府はなんと埋めてしまった。そんな国だから、今後も事故は起こると思います」(前出・齋藤氏)
こうした批判をかわすためか、26日には、埋めた車両をなぜか掘り起こした中国当局。
中国版新幹線については、日本をはじめカナダ、ドイツなどから技術提供を受けながら、中国は独自開発と主張し続けている。その姿勢にも批判が集まったが、事故の原因究明を徹底しようとしない姿勢は、それ以上に批判されてしかるべきだ。
※女性セブン2011年8月11日号