【書評】『我が家の問題』(奥田英朗/集英社/1470円)
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〈彼女の人生はスタンプラリーなんだ〉。
美人で、絵に描いたように出来た妻が待つ愛の巣へ、新婚2か月目にして帰りづらくなった夫。それは寿退社に始まり、出産時期から子供の進路選択まで綿密な長期計画を立てている彼女に恐怖を感じたからだった(「甘い生活?」)。
幸せの基盤である「我が家」を根幹から揺るがすトラブル。それは、シンプルだけど深刻で他所様には内緒で解決しなければ……。「明日はわが身」の6編を収めた作品集。
※週刊ポスト2011年8月5日号