日差しがジリジリと照りつけ、酷暑だった昨年を上回る勢いでグングン上昇する気温。しかし昨夏の使用量とくらべ15%の電力削減目標が打ち出され、日々「電気予報」が配信される今年の夏は、気軽にエアコンをつけるわけにもいかず、熱中症になる人が続出している。
「昨年の“酷暑”でも6月はそれほど暑くなかったのですが、今年は梅雨にもかかわらず、6月24日に第一波がやってきました。6月1日から7月上旬までに、全国で約8000人の熱中症患者が病院に搬送されているのですが、この数は昨年の患者数の3倍、死亡者数は19名で4倍。いま現在、この病院でも重症患者がふたり入院しています」(昭和大学医学部救命救急センター・救急医学講座准教授・三宅康史さん)
環境省『熱中症環境保健マニュアル』によると、熱中症による死亡者数は1990年代前半までは100人を超えることは珍しかったが、1990年代中ごろからは毎年数百人が死亡し、2007年には900人を超えた。そして、2010年には1718人にものぼった。
特に大都市では真夏日(最高気温が30度以上の日)や熱帯夜(夜間の最低気温が25度以上の日)が増加傾向にあり、東京を例にあげると、30度を超える時間数は1980年代とくらべて約1.7倍、熱帯夜は約1.8倍に増えている。
「そんなヒートアイランド現象が起きているなか、今年は節電が“至上命令”。例えば電車などの公共交通機関の運行数が減るため、屋外のホームで待つ時間が長くなる。さらに冷房は控えめで乗車しても体温が下がらない。もちろん家庭でもエアコンは控えめ。いままでは無事に過ごしてきた人でも、今年は熱中症にかかる人が確実に増えると思います。また熱中症には、暑い場所で症状が急激に悪化するケースと、半日から数日をかけて脱水と体力消耗が進行し発症するケースの2種類があると覚えていてほしいですね」(三宅さん)
※女性セブン2011年8月11日号