プロ野球のロッテ・阪神、米大リーグのヤンキースなどで活躍した伊良部秀輝氏が、7月27日、米ロサンゼルス近郊の自宅で亡くなった。42歳だった。そんな伊良部氏のライバルとして、数々の名勝負を繰り広げたのがかつて西武に在籍していた清原和博氏。2003年の日本球界復帰後、阪神在籍中の伊良部氏にインタビューした元巨人の投手・橋本清氏は、両者の関係をこうリポートしていた。(週刊ポスト2003年4月11日号より)
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(伊良部は)メジャーで野球を楽しむことを覚え、剛速球一本槍ではなく、カーブやフォークを生かす緩急をつけた幅広いピッチングを身に付けてきた。
「カーブをカウント球に使っているので、これが決まると楽だよ。ただ、日本ではとんでもなく高い球もストライクに取ってくれるようになったから、高めのロケーション(配球)で勝負や」
と笑っていた。改定されたストライクゾーンの違いに慣れるのには、まだ時間がかかるかもしれない。その伊良部がたのしみにしているのは、僕の先輩でもある巨人の清原さんとの対決だ。
「俺はロッテ時代、あんな凄いバッターとまともにやっても勝たれへんと思って、わざとウソの球種を囁いて速球で打ち取ったこともあるんや」
一方の清原さんも、
「カーブを放るというといて、150キロのストレート投げてきよった。なんちゅうヤツや。しかし、伊良部のストレートが一番速かったな」