ワールドカップを勝ち抜き、見事、世界一を勝ち取ったサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」。だが、男子選手と女子選手には、埋められない格差があった。
日本の女子サッカー選手の多くは、パートやバイトをしながらの生活を余議なくされている。現在、女子サッカーに、プロ選手は8人しかいない。2004年にアメリカから帰国した澤は(かつて所属していた読売ベレーザの後身の)日テレ・ベレーザに再入団するが、彼女でさえプロ契約を更新できず、今年、INAC神戸に移籍。
INACはなでしこリーグの中でも恵まれたチームで、今回のW杯に7人の代表を輩出しているが、それでもプロ契約は澤穂希(32)と、大野忍(27)、それに韓国人選手2人の4人だけ。ただしプロ契約とはいっても、澤で年俸360万円前後という。
日本代表クラスのJリーガーとなれば、年俸5000万円超も珍しくない。かつて日本代表の中心として活躍した中田英寿(34)や、最近ではテレビでお馴染みの武田修宏(44)らも現役時代はそのクラスだったといわれるし、OBとなったいまも、イベントやタレント活動で現役時代に負けず劣らず稼いでいる。
伊インテルに移籍した長友佑都(24)に代表されるように、海外の名門チームに移籍すれば、移籍金は8億円、年俸は2億円を超えるのだ。
そもそも日本サッカー協会から代表選手に与えられるボーナスからして違いすぎる。W杯優勝の場合、男子ならひとり5000万円に対し、女子は150万円。3位でも男子は2000万円なのに、女子だと75万円と2桁も違う。ベスト4は男子1000万円、女子は50万円だ。
ちなみに昨年の男子W杯南アフリカ大会でベスト16入りした日本代表23人には、全員に1000万円以上が支払われ、出場実績によっては最高2220万円を受け取った選手もいた。
今回の優勝で、大手企業にもなでしこジャパンに報奨金を出す動きが広がり、受け取るボーナスの総額はひとり約500万円になりそうだ。とはいえ前述の通り、W杯で女子代表を世界一に導いた澤の年俸は360万円。他の選手がアルバイトに汲々としながら選手生活を送ることに変わりはない。
※女性セブン2011年8月11日号