「世界一の歯車へ」を標榜するUst番組「ザ・サラリーマン」。その構成を務めるDJサエキング氏には、全国のサラリーマンから「ザ・サラリーマン道」ともいえそうな“サラリーマンを生き抜く術”“サラリーマンの様式美”に関する目撃談・体験記が続々と寄せられる。今回は専門商社の大阪支社に勤めるMさん(31歳)から。
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「電気使用量、前年比で15%カット!」
社長の号令がかかったのは5月の末のこと。この号令に一際ならぬ闘志を燃やす男がいた。M氏が勤める会社の総務部長のA氏だ。
「総務の仕事って、業績の数値化が難しくトップへのインパクトも小さい。しかし、節電となれば業績を数値化できる。格好のアピールの機会と捉えたんでしょう」とA氏が闘志ムラムラな理由をM氏は分析する。
ただこの総務部長主導の節電対策が悲劇への幕開けになるとはこの時は誰も想像もしなかったようだ。
「国がこんな状態だから、節電への理解はあるんですけど、総務部長の社内営業の為の
節電ゲームが耐えられないんです」とM氏は語る。
業績への影響無視、体調への影響の軽視の施策が目に光る。
「エアコンの設定温度、昼休みの消灯、蛍光灯の間引き、電気製品の主電源を細目に切る…なんてのはどこの会社もやっている事ですが、程度が半端ないんです。営業は昼間外出していて誰もいない部署を冷やすのは無駄だだという大義で営業部は全て大会議室に移動させられました」(M氏・以下「 」内M氏のコメント)
夕方以降ぎゅうぎゅうに押しやられて、光も届かない大会議室で、PCに顔を照らされた営業がもくもくと仕事をしている光景を想像すると、手を合わせずにはいられない。
「本社から会長と社長が大阪にやってくる日があったんです。支社の惨状を知ってもらう
いい機会だと思っていんですが、出社するとなんと室温が26度の快適温度に! しかも300平方メートルあるフロアに、たった4台しかない扇風機のうち2台が会長と社長の机の横に!少し寒かったのか二人ともジャケットを着てました(笑)」
もはや総務部長のA氏が経産省の役人じゃなかっただけでも国民は救われたとしか思うしかない。
しかし、ここからが節電3次被害というべき悲劇がはじまる。
スーパークールビズだ。
「スーパークールビズになって、外にほとんど出ることがない閑職部署の管理系のオヤジのファッションセンスが会社の風紀を乱しているんです。背中に特大クマのプリントが入ったポロシャツ、フィリピンの大統領のようなゆらゆら系、一昔前の巨人軍選手のゴルフ会を彷彿させるもの…お前ら外出する気全くないやろ! 余談ですが、こういう人たちの扇子はなぜ高級なのでしょうか(笑)」
さらに悲劇を加速させるのものがある。“湿度”だ。
「ひどい時は湿度が80%近くまでなり、それまで頭皮で固まっていた毛生え薬らしきものが、黒い液体となって顔を流れている上司がいるんです。さすがに指摘する分けにもいかず目をあわさないようメールでの報告に徹しています」もはやハリウッド映画の撮影に出くわしたと思うしかない。
「さらにカツラの方には想像以上に酷のようで、おそらく鏡を見ずに頭皮に喚起をしたのでしょう。リセットが雑になり、モミアゲがまぶたの横まで移動していました。」
M氏が勤める会社では、7月よりサマータイム制が導入されたという。勤務時間が1時間30分前倒しにはなったが、効率が上がらない為、結局労働時間が1時間30分伸びただけの社員はさらに過酷な環境に追いやれているという。
もはや、「がんばろう西日本」である。